今日は、広島に原爆が落とされた日。
朝、車でいつもの如くNPR(米国の公共ラジオ)を聞いていたら、
「なぜ、投下ターゲットを広島にしたのか。」
というタイトルで、レポを流していました。
www.npr.org/2015/08/06/429433621@@@/why-did-the-u-s-choose-hiroshima
(これが原文:ちょっと加工しました)
以下、日本語に訳してみました。(出典 ‐ 著者:G.ブルムフィール、米国・ナショナル・パブリック・ラジオ2015年8月6日付)
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原子爆弾と言えば、ほかのどんな場所よりも先にその地名がすぐに連想されるほど、原子爆弾と広島の繋がりは強い。
しかしながら、1945年当初のアメリカは、最初の原子爆弾を作るにはまだ数か月先のことで、それをどう実用するかもまだ考えられていなかった。
スティーブンス・インスティテュート・オブ・テクノロジーの歴史家アレックス・ウェラーシュタイン氏は、
「『爆弾を落とすのであれば、どこか街中に落とすのが良いだろうか?あるいは軍関係の施設の方が良いだろうか?あるいは、落として人を殺傷するのではなく、見せつけることで威嚇する程度で良いだろうか?』
当時は、このような質問に対する答えがまだ見つかっていないという現状でした。」
と説明する。
ウェラーシュタイン氏は生涯をかけて、原子力兵器とその実用に関する研究を行っている。
1945年の春、米国軍部は軍人と科学者から成る特別委員会を招集し、どこに原爆を落とすべきであるかを話し合った。
以前、この委員会の議事録はトップ機密であったため内容は一般に知られることは決してなかったが、今は公開されているその内容によると、委員会が殺傷のずっと少ないようなターゲットを考慮していたことが伺われる。
当初は、原子爆弾の威力を見せつけるデモンストレーションのために、人里離れた軍関係の施設や、東京湾などと言った場所が落下候補地として考えられていた。
しかし、そういった場所では世界中に新兵器爆弾の威力を見せ付けることが出来ないと思い始めた。
「委員会のメンバーは、この新型兵器がいかに従来の兵器とレベルが違うかを全世界に知らしめたかったため、その違いが一目でわかるよう最も効果的に演出できる場所の選定を必要としたのです。」
と、ウェラーシュタイン氏は語る。
委員会は、「心理的」な目標を2つ掲げた。1つは爆弾投下で日本を怯えさせ無条件降伏させること、もう1つは新兵器の威力を世界中に見せつけアメリカの国力をみせつけることであった。
2つ目の目標は、標的となるなる場所を選定するにあたり、特に研究者たちには重要な意味合いを持っていた。
原子爆弾は、当時、まだ超機密事項であったが、科学者たちには更にもっと恐ろしい秘密事項があった。もう少しで「超爆弾」と呼ばれる新兵器が出来ようとしていたのだ。それは、水素爆弾のことで、当時の科学者たちは水素爆弾で世界を終わらせることもできると信じていた。
物理学者のエドワード・テラーは、委員会のメンバーではなかったが、(原子・水素)爆弾製作者たちの不安をまとめた書状を書いている。
「皆さんの前に、我々が得た結果を事実として報告することのみを希望します。次に起こる戦争で全人類が滅亡するかもしれないと人々を説得する助けになればいいのですが。こうした目的を考慮すると、むしろ実際の戦闘での利用は最善であるのかもしれません。」
委員会は、最終的に、原子爆弾は実際に人を殺傷すべきだという結論に至った。
当時、アメリカの戦闘機は、すでに多くの都市を爆撃し、多くの人の命を奪っていた。
そのため、この新兵器はただ単に人を殺傷するだけでなく、なにか聖書にでも出てくるような宗教的・説教的意味合いを持つべきだと考えられた。たった1機の爆撃機が飛来し、一発だけ爆弾を落とす。すると、地図から1つの都市が一瞬にして消え去る。何とも恐ろしいストーリーだ。でも、委員会のメンバーはそれが必要だと考えた。恐ろしくなくては、と。それで初めて戦争を終わらせることが出来るのだと。それで初めて、将来の原子爆弾の利用を食い止めることが出来るのだと。
そして、広島が標的地として選ばれた
「広島は、サイズ的にコンパクトにまとまっている。」
と、ウェインシュタイン氏は言う。
「広島のような場所の中心地に爆弾を落とすと、町全部が破壊されます。丁度いい大きさなんです。」
さらに、広島は、軍事的標的でもあった。広島には軍事工場をはじめとする、軍関係の施設があった。
米軍は、原爆で7万から8万の人の命が奪われるだろうと計算していた。
戦争は終わった。
そして。
広島の経験は核戦争をあり得べからざるものにすることが出来たか?
軍事専門家のロバート・ノリス氏は、
「確かにその効果はそれ以降何十年かは続いた。しかし、大変な数の爆弾が今も警戒態勢をとっており、軍部はいまだにそれを使うべく計画をたてている。」
と言う。
「今日の目標は何(どこ)だろうね?」
とノリス氏は問う。
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戦争で命を落とされた皆さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
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