アメリカに住むということ

よそ様の国に住むというのは結構大変です。英語が出来ればいいというものではありません。

プライスレス

「ピアノが弾けるようになりたいの。」

母が4歳ぐらいの時に、そう言い出したそうです。

なんとも真剣に言う母を見て、祖母は何かを感じたそうです。

「この子、本気だわ....。」

と。

そこで早速、マンハッタンにあるピアノ屋さんに出向いた祖母。

販売員の説明に耳を傾けながらフロアに展示されているピアノを一台一台吟味。

ピアノを置くことにしているリビングの寸法も事前に計ってある。

それにぴったりと合うサイズで、しかもこれからずっと弾くことの出来るピアノ。

祖母は、一日中そのピアノ屋に居座って、「これぞ!」という一台を決めたそうです。

でも、手持ちのお金がちょっと足りなかったらしく、

「翌日必ず来るからちゃんととっておいてね。」

と何度も念を押して、その場を後にしました。

翌日、祖母は約束通り、満額を持ってそのピアノ屋を訪れました。

「昨日の私よ。あの、ピアノの代金を持ってきましたよ。」

という母に、昨日とは別の販売員が、

「大変申し訳ございません、あのピアノはあのあとすぐに売れてしまいました。他にもピアノはございますから、どうぞそちらからお選びください。」

と言ったそうです。

祖母は、一気にブチ切れたそうです。

「昨日、あれだけ何度も念を押して言ったじゃないですか。明日、必ず満額お支払いしますと。ほら、こうして持ってきたでしょ。あなたは、私がウソを言っていたとでも言うんですか?!自宅のリビングの寸法までしっかり計って、あのピアノが一番ぴったり合うのよ!他のじゃ駄目なのよ。どうしてくれるんですか!!!!」

と、その販売員に詰め寄ったそうです。

ウチの祖母は、こうだと思ったら絶対に後に引かないっていうので有名で、ピアノ屋でもそのままだったようです...。

暫くの間、その販売員と祖母との間で言い争いが続いたそうです。

その騒ぎを聞きつけたマネージャーが間に入ってきました。

そのマネージャーも、基本的に販売員と同じような態度で、なんともラチがあきません。

言い争いはますますヒートアップして、とうとう副社長といわれる人物の登場となりました。

創業者の弟だそうです。

「マンハッタンにお店を持つようなピアノ屋さんが、こんな失礼なお客の取り扱いをするのですか。恥を知りなさい、恥を!

と祖母が言い放ったところ、副社長は落ち着いた声で、

「お客様のおっしゃるとおりです。」

と言い、

「ご迷惑をおかけしたお詫びに、ご自宅のリビングにぴったり合うピアノを製作致します。ご自宅にお伺いしてリビングのサイズを確認させて頂きますね。もちろん、お代金は、今日お支払いいただくことになっていた金額で結構です。」

という約束をしてくれました。

副社長の約束の通り、ピアノ屋の担当者が自宅に来ました。

それから数ヵ月後に、ウチのリビングだけにぴったり合う特注のグランドピアノが納入されてきました。

母は、その日から亡くなるまでずっとそのピアノを大切に大切にしていました。

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これは、私の友達がしてくれた「PIANO STORY」で、その友達のおばあちゃまのお話です。

現在はミシガン州に住むこの友人は、当時ニュージャージ州のニューヨークに近いほうに住んでいたそうで、友人のおばあちゃまが向かったマンハッタンにあるピアノ屋というのは、ピアノの名門・スタインウェイです。

現在、この特注スタインウェイはこの友達が所有し、誰も弾き手がないものの年に数回プロの調律師に来てもらってベストのコンディションにしてもらっているそうです。

特注のスタインウェイのグランドピアノはそれほど例がないらしく、一度査定をしてもらったところ、

「価値はつけられません。」

と、キッパリ言われてしまったそうで...。





「一度、弾きにいらっしゃい。」

と言われていますが、そんな畏れ多くって出来ません!

見るだけにしておきます。












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